発達障害とボードゲーム。優しいゲーム性で日中一時支援にまさかの大人気 その2

2019年9月13日

前回発達障害とボードゲーム。優しいゲーム性で日中一時支援にまさかの大人気

日中一時支援で求めに応じて開催されたボードゲーム会。

その立役者はなぜかゲームのルールを覚えようとしないという謎展開や、

大小のボードゲームを組み合わせたボードゲーム会が初見の利用者さんも巻き込んでいくようすを、ゲームの魅力を解説しながらつづっていきます。

第2部です!テンション高め!

日中一時支援にもっていったボードゲーム、「パンデミック」

パンデミック
パンデミック 人類対病原菌!!全員協力型のこのゲームが受け入れられるか、やってみるまで心配で。。

頼まれて始めたボードゲームの会。それで始めたボードゲームだったが、最初かなり心配があった。

なにしろ、日本の(有名な)ゲームと違いすぎる。

例えば、パンデミックは人類対病原菌という協力型のゲームだが、まずサイコロルーレットの類がない。

大抵、箱裏に大体の説明が書いてある。でも、実際はやってみないとわからないことがしばしば。

あと勝ち負け。ワクチンを4種類作ったら勝ち。人類全員の勝利。プレイヤーは誰も負けない。「今回はAさんに勝った!」的なものがないのだ。他の人を出し抜かないのだ。

負けるときは、かなり無残に負ける。ええ、ここまでいったのにこれで負けちゃうの?という感じで、急に敗北することもしばしば。

なのに、なんだか施設の皆さんは楽しそうだ。

なんでそんなに楽しいのかな?皆さん

ゲーム性が新鮮なのか?利用者さんとのやり取りが楽しいのか?なんだかとっても生き生きしている。

パンデミックは協力型だから、各ターン必死に打ち合わせをする。次に最近が発生蔓延する場所を予想して、各プレイヤーお互いに支持を出しながら、ワールドマップを移動する。

大抵勝利するときも、余裕で勝利することはまずない。「ここでこう動いていたら助からなかった」「もう少し病原体の繁殖が早ければ助からなかった。。」という辛勝がほとんどだ。

敗北するときは、「ううん、これは事故かな?」というくらい超スピードで敗北することもあるが、大抵は「おしい。。もう少しでワクチン作れたのに~」「あと1ターン回れば勝てたのに」という感じで惜敗する。

今回のボードゲーム会では、1回目と、2回目つづけてパンデミックを初心者レベルの難易度に調整したのだが、連続で負けてしまった。持ってきた自分も監修したのだが、もうどうしようもない。

でも好評で「すごく面白かった」「また持ってきてください」という反響だったのだ。

この食いつき方、ルールの理解の仕方は、持ってきた我々よりも全然優れている。積極的に意見するし、戦略的に行動するし、感心する。

ここの日中一時支援の皆さんは年がら年中UNOやマージャンを本当に楽しそうにやっている。多分そういうものを楽しむ土壌があるのだろう。

最初1か月に1回という超スローペースだったのだが、それでも毎回ハイテンションでプレイしてもらい。3回目のプレイで、ついに人類初勝利となったのであった!!

利用者のみなさん、すごい脳内麻薬が出たようで、とても喜んで3回目を終えることができた。主催者のこちらはハラハラだったが。。(^^)

ルールを覚えない?不思議な利用者Dさん(^^)

Dさん。わたくし「のぼる」のオタ知識を必要以上に評価していて、今回もボードゲーム会を提唱したいわば仕掛け人の方である。

この方はボードゲームプレイに同席するけど、もう本当にルールを覚えようとしないのだ。

そのくせ、仕掛け人だけあって、一番楽しんでいるかのようなテンションである。

ルールがあやしいプレイヤーがいても、パンデミックは問題なく進行する。なぜなら全員で全員の行動を打ち合わせるからだ。

そうすると、ときどき「ようやくゲームの面白さがわかってきました!」といろいろ分析をし始める。休憩も多く、肝心なところでタバコ吸いに行ってしまうので

「Dさん、また一番の見せ場を見逃したよ?」ということも多いのだが、とにかく他の利用者がどれだけ楽しんでいるかを注目しているのだ。

多分、自分が楽しむより、利用者たちにとってボードゲーム文化がどれだけ有益か値踏みをしてくださっているのであろう。

また、このようにルールを積極的に覚えなくても、ゲームの輪の中に入れるということも教えてくれる貴重な存在なDさんである。

いよいよ、フルコース!? 大小のボードゲームを連続してプレイ!!

さて、パンデミックがひと段落した、その翌週の会(多少都合をつけて、毎月から、「できれば毎週開催」に移行した。)、おそるおそる小さ目のゲームも組み込んでみた。

するとその意図を汲み取ったかのようにDさんが説明する「時間の短いゲームで場を温めてから、時間のかかるゲームをしましょう」

そこで出したのが、ラブレターというゲームだ。

ラブレター
ラブレター。日本製でありながら、本場ドイツでも賞をとるというこれまたエッジのきいたカードゲーム
お城のお姫様に恋文を渡そうとするのを取り巻きが邪魔する。。。なんてストーリー設定があるが、スピーディーに進み、えぐい戦いでライバルがバタバタと。。(^^)

さてさて、この日は初見の方もいらっしゃっていた。簡単にカードの説明をして、とにもかくにも練習方々、1ゲームプレイしてみた。

このカードゲーム、基本16枚でプレイ。毎回手持ちは1枚のみ。非常識な少なさだ。

一枚山札からとって、一枚捨てる。捨てたら、そのカードの効力は有無を言わさず発動する。相手のカードを見たり、無理やり交換させたり、とにかく相手にカードについてる点数勝負を持ちかけたり・・・

UNOでいうとこのワイルド、スキップ、ドローツーみたいな役札だけでデッキができているという感じだろうか。

さらに、これを持っていれば安心というカードが一つもないのだ!

たとえば「姫」のカードは、まあ主人公カードなので点数的には最高(2人以上最後まで残ったら点数で勝負するから)なのだが、

カードの説明には「場に出されたとき脱落する」とさらっと書いてある。つまり、途中で捨てたら負け。捨てさせられたら負け。

他のカードには、正体を見るカードとか、カードの内容を当てられたら脱落、相手のカードを無理やり捨てさせるカード、とかあるので、姫が来ても全然安心できない。むしろ顔に出るような人には不利なくらい。

ラブレター。開始早々大爆笑!?

さて説明もそこそこお試しプレイが始まった。1週目、いきなり初めてプレイするOさんとママがカードを交換することになった。

交換したら、いきなり二人とも大爆笑!!

どうしたの?という感じだったが、同じような目論見たくらみをしていたところで、交換したらおんなじカードだったらしい。

初見の方が開始3分で大爆笑!?これはいける!! 

まとめと予告

ボードゲームは不思議な魅力がある。マージャンやUNOも楽しいけど、

ボードゲームは知的でおしゃれで、なんといっても日本の文化にないコミュニケーションツールとして日中一時支援施設のリクリエーションメニューに新風を吹き込み、予想外の成果をもたらしたのです。

次書くときには私がほぼ持ち込みで開催していたのが、だんだん利用者のみなさんに浸透していった話になるかな?と思います。

つづく